社会貢献への熱意と、東郷青児画伯との絆
当館のルーツは、1976年、当時の安田火災(現:損保ジャパン)の社長であった三好武夫の「何らかの形で社会貢献をしたい」という強い想いから始まりました。安田火災の前身である東京火災は、1930年頃から画家の東郷青児と親交があり、保険のしおりやカレンダーに東郷の絵を使うなど、文化的なつながりがありました。 そのご縁から、美術館構想を東郷画伯にお話ししたところ、多大なるご賛同と共に、ご自身の作品を多数提供してくださったのです。
「日本の芸術文化の向上に貢献し、新宿の街を訪れる皆さんに憩いの場、オアシスを提供したい」―。その想いから、「東郷青児美術館」として、新宿本社ビルの42階に誕生しました。ゴッホの《ひまわり》がコレクションに加わり、現在の場所へ移転した今も、その設立当初の志は、私たちの根幹に深く息づいています。


「ココロの再発見」
50周年を記念し、「美術・新宿・ココロの再発見。」というテーマを掲げるプロジェクトが発足しました。これは、長年美術館を支えてきた運営チームメンバーが中心となって考えたものです。
すばらしい作品を鑑賞していただくだけでなく、美術館という空間を通じて、新宿の街の新たな魅力に気づいたり、ご自身の心と深く向き合ったり、あるいはただ「ぼーっと」過ごしたり…。そんな、一人ひとりの「ココロの再発見」の機会を提供したい。それが、私たちの記念事業に込めた願いです。

こうした想いの一環として、工事中の新宿駅一部で小田急エージェンシーが手掛ける「仮囲いプロジェクト」にも参加し、新宿の街ゆく皆さまに当館のメッセージをお届けしています。また、同プロジェクトのインタビュー記事で、50周年記念事業プロジェクトのメンバーとともに、当館の新宿との関わりの歴史を語りました。
未来へつなぐ、美術館の使命
美術館の仕事は、展覧会を企画し、作品を展示するだけではありません。貴重な文化資産を未来へどう守り伝えていくか。それも私たちの重要な使命です。現在、当館では、未来に向けた二つの大きな挑戦を進めています。
一つは「油彩画等の保存修復支援事業」です。日本では、美術館に専門の修復家がいるケースは極めて稀で、全体の5.5%ほどしかありません。修復の技術を持ちながら、活躍の場が限られている若手修復家も少なくないのが現状です。そこで私たちは、彼らに修復作業の機会を提供し、若手人材の育成支援という観点から文化財保護という社会課題の解決に貢献したいと考えました。

そしてもう一つ、当館の活動を語る上で欠かせないのが、約80名にも及ぶボランティア「ガイドスタッフ」の皆さんの存在です。「子どもが好き」「美術館が好き」という熱い想いを持った方々が、休館日に来館する新宿区立の小中学校を迎え、対話型の鑑賞会を長年支えてくれています。彼らの熱意なくして、当館の教育普及活動は成り立ちません。心からの敬意と感謝を伝えたいと思います。
人とこの街をつなぐ美術館:新宿と共に歩む、次の50年

開館以来、私たちはこの新宿の街に育てられてきました。公立の美術館がない新宿区にとって、私たちが果たすべき役割は小さくないと、改めて身の引き締まる思いです。
50周年を機に、近隣の公園やホテルとの連携、地域の企業様とのコラボレーショングッズ開発など、これまで以上に街へ飛び出し、皆さまへの感謝を形にしていきたいと考えています。
私たちSOMPO美術館は、当館を「人とこの街をつなぐ美術館」にしたいと考えています。新宿全体を、アートの力でつないでいく。訪れる人々の心を豊かにし、地域の賑わいを創り出す。そんなハブのような存在になることが、これからの50年、私たちが目指す姿です。 これからもSOMPO美術館は、新宿の街と共に歩み続けます。ぜひ、ふらりとお立ち寄りください。皆さまのご来館を、心よりお待ちしております。




