介護業界の現在地
2040年には約57万人の介護人材が不足すると言われている日本。人材の獲得が困難になることはどの業界も同じ状況ですが、ロボットやAIの台頭により人の働き方が大きく変化した業種もあるなか、介護業界は50年以上、働く人の動きが変わっていませんでした。加えて、介護は料金の変更を自由に行えないこともあり、処遇改善の原資を生み出すことが非常に難しいとされています。来るべき未来を変えていくためには、介護の現場を変えていくことが不可欠です。
人に寄り添うイノベーション
「未来の介護」は、働く人が少なくなったとしても、品質を伴う生産性向上を実現しながら、私たちがやりたい介護を提供し続けていくための取り組みです。私たちがやりたい介護とは、ご利用者さまの自分らしい暮らしや生きがいを支える、究極のカスタムメイドケア(ご利用者さま一人ひとりに合わせた最適なケア)。その鍵を握るのが、テクノロジーとデータの活用です。「ムリ・ムラ・ムダ」の排除を目的とした徹底した業務最適化と一部業務をテクノロジーで代替することで創出した時間を活用し、ご利用者さまと一緒に外出をしたり、編み物を教えてもらったり、まさに人にしかできないことに注力する働き方の実現につなげています。
実は取り組みを始めた当初は、新しい働き方に対する職員の戸惑いの声もありました。効果はすぐに表れるものではなく、目にみえにくいものです。取り組む意義を理解してもらうためには、取り組みの手間を上回るメリットがあることを感じてもらう必要があります。その時に意識したのは、「経済」ではなく「道徳」から伝えること。作業時間の短縮などといった経済的な視点も重要ですが、まずはご利用者さまの安心や満足という視点から丁寧に説明することで、協力してくれる職員が増えていきました。
変革をリードする熱い想い
SOMPOケアでは、SOMPOグループのパーパスである 「“安心・安全・健康”であふれる未来へ」に基づき、事業を通じて日本が抱える社会課題を解決し、あらゆる人が自分らしい人生を健康で豊かに楽しむことのできる社会の実現を目指しています。実現に向けて、介護業界の変革に切り込んだ「未来の介護」をさらに発展させていくのは、次世代の方々です。一人でも多く当事者意識の高い仲間を増やし、対話を繰り返して探求を続けることで、介護の未来を変え、業界全体を良い方向へ持っていきたいと考えています。
私が物事に取り組む際に心がけているのは、正しいことを言うのではなく正しい結果を出すことです。理想や正論を口にするだけでは、目的とする正しい結果にはたどり着けません。私たちが目指す、ご利用者さま・職員・未来社会にとっての「三方良し」の実現に向けて、これからも情熱をもって進めていきます。